人工透析装置用洗浄剤を選択するポイント
人工透析装置用洗浄剤に求められる
こと
人工透析装置用洗浄剤に求められる必須要件として、「除菌」「洗浄」「炭酸カルシウムスケール除去(炭カル除去)」があります。
人工透析装置用洗浄剤の必須3大要件
- ①人工透析配管内の菌・エンドトキシンを取り除く「除菌」
- ②透析治療によって排出した老廃物や、菌由来のバイオフィルムなど有機物を取り除く「洗浄」
- ③透析液由来の炭酸カルシウムスケールを取り除く「炭カル除去」
上記の3大要件の他にも、、、
- 透析装置をいためないこと
- 不快臭がしないことや操作性がよいなど、作業者フレンドリーであること
- 錆を除去できること
- コストパフォーマンスが高いこと
など洗浄剤に求められる要件は様々です。
人工透析現場で使用されている人工透析装置用洗浄剤
分類 | 詳細 | |
---|---|---|
主剤 | 塩素系(次亜系)除菌洗浄剤 | 次亜塩素酸ナトリウム |
塩素系除菌洗浄剤 | ||
次亜添加型洗浄剤 | ||
過酢酸系除菌洗浄剤 | 各種過酢酸系除菌洗浄剤 | |
熱湯消毒用洗浄剤 | クエン酸 | |
熱湯消毒用洗浄剤 | ||
副剤 | 炭酸カルシウムスケール溶解剤 | 酢酸 |
炭酸カルシウムスケール溶解剤 |
代表的な人工透析装置用洗浄剤の特徴
-
塩素系除菌洗浄剤の特徴
次亜塩素酸ナトリウムの幅広い「除菌」力を生かしながら、「洗浄」力をさらに強化しつつ、装置へのダメージを抑えた洗浄剤
-
各種過酢酸系除菌洗浄剤の特徴
- 3大要件「除菌」「洗浄」「炭カル除去」+「除錆」が1剤で可能
- 有機物溶解力がない=「洗浄」力が弱いため、塩素系洗浄剤との併用が一般的
-
炭酸カルシウムスケール溶解剤の特徴
- 酢酸の代替品であり、酢酸の不快臭なく「炭カルの除去」が可能
- 除錆機能付の製品もあり
主な人工透析装置用洗浄剤の効力
洗浄剤 | 除菌 | 洗浄 | 炭酸カルシウムスケール除去 |
---|---|---|---|
次亜塩素酸ナトリウム | ◯ | ◯ | × |
塩素系除菌洗浄剤 | ◯ | ◎ | × |
次亜添加型洗浄剤 | ◯ | ◎ | × |
酢酸 | × | × | ◎ |
炭酸カルシウムスケール溶解剤 | × | × | ◎ |
過酢酸系除菌洗浄剤 | ◎ | △ | ◎ |
熱湯消毒用洗浄剤 | ◎ | △ | ◎ |
ひとくちに人工透析装置用洗浄剤といっても様々な種類があり、効力が異なることがわかります。1つの洗浄剤で3大要件をすべて満たすことは難しく、2つの洗浄剤を組み合わせて使用することをおすすめします。
代表的な人工透析装置用洗浄剤の組み合わせ
-
塩素系除菌洗浄剤 + 炭酸カルシウムスケール溶解剤
(特徴)- 塩素系除菌洗浄剤で「除菌」、「洗浄」を担当
- 炭酸カルシウムスケール溶解剤で「炭カル除去」を担当
- 塩素系除菌洗浄剤は低腐食性であり、夜間封入使用が可能なため、夜間の細菌増殖を防止
- 定期的な除錆や除錆機能付炭酸カルシウム溶解剤を使用するなど錆の管理が必要
- 現在日本で最も選択されている組み合わせ
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塩素系除菌洗浄剤 + 過酢酸系除菌洗浄剤
(特徴)- 塩素系除菌洗浄剤で「除菌」、「洗浄」を担当
- 過酢酸系除菌洗浄剤で「除菌」、「洗浄」、「炭カル除去」、「除錆」を担当
- 両剤とも、除菌効果があるため、1日に1剤のみを交互に流す洗浄方法「1日1剤隔日交互使用方式」が選択可能。当洗浄方法は、低コスト、低負担、効率的などメリットの多い洗浄方法。
- 現在日本で最も増えている洗浄剤の組み合わせ。
まとめ
人工透析装置用洗浄剤はその性質や役割によって選択肢が多岐に渡ります。洗浄剤の効力や注意点を正しく理解し、施設様毎に最適な洗浄剤とその組み合わせを選択することが重要です。
アムテックでは、施設様の状況や問題を確認するために、各種分析や評価を実施し、施設様毎に最適な洗浄剤やその組み合わせ、洗浄方法をご提案します。