医療器具の洗浄について

医療器具の消毒・滅菌処理を行う前には、あらかじめ洗浄を行うことが重要です。医療器具の洗浄前に消毒・滅菌処理をすると、血液などのタンパク質が変性し、汚れが固着します。変性・固着した汚れは洗浄しても残留しやすいため、消毒・滅菌不良の原因となります。

医療器具の洗浄には主にアルカリ洗浄剤、酵素洗浄剤が使用されます。洗浄対象となる器具や、洗浄方法(機械洗浄、用手洗浄、浸漬洗浄)によって適切な洗浄剤を選択する必要があります。
また、洗浄業務は現場での一次洗浄を廃止し、中央滅菌材料室(中材)でまとめて処理することが推奨されており、洗浄までの間の血液の凝固を防止する予備洗浄スプレーも販売されています。

近年では、2012年に洗浄評価判定ガイドライン(日本医療機器学会)が発行され、洗浄ができているかどうかの確認についても重要なポイントとなっています。 アムテックは医療器具の洗浄だけではなく、洗浄ができているかどうかの確認を行うことで、施設様での洗浄をトータルでサポートします。

医療器具用洗浄剤を選択するポイント

中央滅菌材料室(中材)での主な洗浄方法

ジェット式洗浄(WD)

ジェット式洗浄装置(WD)を使用し、洗浄剤の力及び物理的作用(噴射)により洗浄します。

メリット

汚染器具を人の手を介さずに洗浄・消毒・乾燥を行い、作業効率向上及び感染防止が期待できます。

デメリット

ジェット水流があたらない箇所の洗浄ができないため、器具のセット方法に注意が必要です。

推奨洗浄剤

主にアルカリ洗浄剤を使用しますが、器具への腐食を考慮して酵素洗浄剤を使用することもあります。

超音波洗浄

浸漬洗浄に物理的作用(超音波)を加えて洗浄します。

メリット

ブラシでは取り除けない箇所の汚れを超音波により取り除くことができ、短時間で高い洗浄効果が期待できます。

デメリット

ゴムなどのやわらかい器具やエアが溜まっている箇所は超音波が伝わりにくいため、洗浄効果が期待できません。

推奨洗浄剤

主にアルカリ洗浄剤や酵素洗浄剤を使用します。

浸漬洗浄

洗浄液中、または容器をおいて流水を溜めながら洗浄します。

メリット

作業者によって洗浄効果に差が出ることが非常に少なく、簡単に洗浄処理できる洗浄方法です。

デメリット

洗浄液に接していない箇所は洗浄できないため、内腔のある器具などはエア抜きを行い、浸漬する必要があります。

推奨洗浄剤

主に酵素洗浄剤を使用します。

用手洗浄

洗浄液中、または容器をおいて流水を溜めて液中で洗浄します。

メリット

汚染物の残留状況を確認しながら洗浄を行うことが可能です。

デメリット

スタッフの感染リスクが高く、鋭利な器具の洗浄作業では注意が必要です。またブラシが届かない箇所は洗浄できません。

推奨洗浄剤

主に酵素洗浄剤を使用します。

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洗浄方法別洗浄剤の適合性

アムテックの洗浄剤は、大きく「アルカリ洗浄剤」「酵素洗浄剤(弱アルカリ性・中性)」があります。
それぞれの用途・特徴によって使い分けると効果的です。

洗浄剤用途 アルカリ洗浄剤
洗浄力
防食性
酵素洗浄剤
弱アルカリ性
洗浄力
防食性
中性
洗浄力
防食性
用手・浸漬洗浄
超音波洗浄
ジェット式洗浄(WD)

(◎:非常に適している ○:適している △:使用しても問題ない)

医療器具用洗浄剤の主な種類

アルカリ洗浄剤

洗浄力が高く、血液や体液などのタンパク質、脂質汚れを効果的に除去します。ジェット式洗浄装置(WD)、超音波洗浄装置による
洗浄が最適です。ステンレス器具に加え、アルミニウム、銅、真鍮器具に対する腐食を抑制した製品もあります。

アルカリ洗浄剤:アルフレッシュJ-1

アルミ器具対応

アルカリ洗浄剤:アルフレッシュSJ

酵素洗浄剤

【中性】
アルカリ洗浄剤に比べ、金属、ゴム、プラスチック器具に対して腐食性が低い洗浄剤です。
皮膚への影響が少ないため、用手・浸漬洗浄に適しています。酵素洗浄剤は40℃前後で最も効果を発揮します。

酵素洗浄剤:トップザイムS-100

多用途型

酵素洗浄剤:トップザイムD-300

高発泡型

酵素洗浄剤:トップザイムF-400

香料配合

酵素洗浄剤:トップザイムA-400α

高濃縮

酵素洗浄剤:クリアラックスN

酵素洗浄剤:トップザイム泡スプレー

【弱アルカリ性】
酵素と弱アルカリの相乗効果により中性タイプよりワンランク上の洗浄力を発揮します。
ジェット式洗浄装置(WD)、超音波洗浄装置、用手・浸漬に適しています。

酵素洗浄剤:トップザイムJA-600

酵素洗浄剤:トップザイムSA-500

高濃縮

酵素洗浄剤:クリアラックスMA

その他

血液の凝固を防止する予備洗浄スプレー、潤滑防錆剤、錆除去剤、熱ヤケ除去剤などのメンテナンス剤などがあります。

予備洗浄スプレー:ピュアセーフM

新品器具油膜除去剤:リオフラッシュNE

熱ヤケ除去剤:サンフラッシュFS

除錆剤:FENON-Z1

潤滑防錆剤:ファイナルインSG

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医療器具の洗浄評価

洗浄評価には、洗浄後の医療器具の洗浄効果を判定する“直接判定法”と
ジェット式洗浄装置(WD)のトラブルを検知する“間接判定法”があります。

直接判定法

判定方法 指標物質 特徴
目視 視認 タンパク質・脂質
多糖類・薬物
・簡便だが個人差がある
・数値化が困難
色素染色 アミドブラック10B アミドブラック10B ・簡便に定性値が得られる
拭き取り ATP測定 アデノシン三リン酸 ・簡便に(半)定量値が得られる
・試薬と装置が必要
綿球付着物の化学反応 ヘモグロビン
タンパク質
抽出 CBB法
OPA法
BCA法
タンパク質 ・正確な定量値が得られる
・手技が複雑
・試薬と装置が必要

間接判定法

洗浄評価インジケータを用いた判定法です。

ジェット式洗浄装置(WD)にセットし、洗浄後のソイルの残存状態から、洗浄装置のトラブルの有無を判定します。
「ソイルが残っている」=「トラブルがある」ではありません。
正常稼働時のソイル残存状態をスタンダードとし、スタンダードと
かけ離れた結果が出た場合は、洗浄装置や洗浄剤などの点検を実施してください。

洗浄評価インジケータ:EVIT

洗浄評価インジケータ:EVIT-SP

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Q&A よくあるご質問

洗浄剤について

Q1洗浄剤に求められる要件や特性は?
A1汚れた医療器具は滅菌できません。より良い滅菌は洗浄あってはじめて可能となります。
洗浄力があること、器具を傷めないこと、環境負荷が少ないこと、安価なもの等が挙げられます。
Q2洗浄剤の誤った使用例は?
A2家庭用洗剤を使用することです。家庭用洗剤は油汚れは落ちますが、血液やタンパク質汚れは落ちにくいです。
Q3洗浄剤をうまく使いこなすコツやヒントはありますか?
A3器具が中央材料室(中材)に運ばれてくる前に汚れを乾燥させないよう予備洗浄スプレーを使用すると効果的です。
中央材料室(中材)での洗浄時間短縮や洗浄剤の使用量が削減できます。
Q4ジェット式洗浄装置(WD)の洗浄剤として、泡立ちの多い洗浄剤を使用した場合、どのようなトラブルが想定されますか?
A4ジェット式洗浄装置(WD)は、噴射循環式、つまり、洗浄槽底部に設置された加圧ポンプで洗浄剤をノズルから噴射(シャワーリング)させて洗浄します。循環液(洗浄剤)に空気(泡)が存在すると、洗浄剤の噴射が不均一となり、洗浄不良を起こすばかりではなく、ポンプ故障の原因になります。
また、泡によって容積が増え、液面センサー誤作動の原因にもなります。
Q5器具ごとの使い分けはどのようにすべきでしょうか?
A5アルミ、銅、真鍮製の器具にアルカリ洗浄剤を使用すると、表面のコーティングが取れて黒く変色することがあります。
装置毎に洗浄剤を使い分けたり、事前に器具の材質を把握しておくことが重要です。

洗浄評価について

Q6なぜ洗浄評価が必要なのですか?
A6ジェット式洗浄装置(WD) 器具を入れて蓋を閉じると、中でどのような状態になっているかは分かりにくいです。
例えば、プロペラが止まっていたり、穴が目詰まりを起こしていたりという不具合が起こっている可能性もあります。
さらに洗浄剤が適正に使用されていない場合、感知できません。そこで、まずは装置が正常に稼働しているのかどうかを、間接的にインジケータで客観的に評価することが重要です。
Q7洗浄評価インジケータを導入するメリットは?
A7医療において、滅菌の知識や技術は非常に重要ですが、充分に理解している人がまだまだ少ないのが現状です。洗浄評価インジケータの導入はダイレクトに「医療の質」を高めることにつながります。

メンテナンスについて

Q8新品器具の処理方法について教えてください。
A8新品器具(鋼製小物)は製造出荷時、錆びないように防錆油や潤滑油が塗布されていたり、加工時の工業油が付着していることがあり、これらの油が十分に除去されないままオートクレーブを行うと、油が焼き付き、器具の変色の原因になります。
この油は、新品器具用油膜除去剤で効率的に除去することが可能です。または、アルカリ洗浄剤で1~2時間浸漬洗浄するか、酵素洗浄剤で1時間程度浸漬洗浄することで、代用可能です。なお、分解可能な器具は分解してください。
また、最近は、最終処理に電解研磨を施し、水溶性の油を使用するものが増えていますので、新品時の状態が不明であれば、メーカーに確認することをお勧めします。器具を長く使用する為にも最初の処理(洗浄)は重要です。
Q9器具の動きが悪くなった時の対応策を教えてください。
A9ジェット式洗浄装置(WD) の処理では潤滑防錆剤が自動的に塗布されるため、器具の動きが悪くなることは考え難いですが、隅々まで噴射されているか確認が必要です。
洗浄を繰り返すことで器具の可動部の動きが悪くなる場合があります。
これは不純物として必要な油分まで除去してしまうことで発生します。
このような場合は、潤滑剤を塗布または全体を浸漬させることで解消します。

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